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なんとも賢いAI参謀と挑む操作不要の宇宙4X『Distant Worlds 2』【爆速プレイレポ】

最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。【画像】やること多そうに見えますがAIのおかげで楽ちん楽ちん…ホントかなあ?今回は2022年3月11日にSlitherineよりPC(Steam)向けに発売された『Distant Worlds 2』について生の内容をお届けしたいと思います。『Distant Worlds 2』とはCodeForceが手掛ける本作は、宇宙を舞台にした4Xストラテジー『Distant Worlds』シリーズの最新作です。前作と比較して、グラフィックが3Dになり、処理が高速化されました。プレイヤーは銀河系の星々からなる帝国を率い、未知なる領域の探索、自勢力の領土の拡張、拡張した領土の開発、敵対する勢力の殲滅の4要素(4X)を駆使して勝利を目指します。本作の最大の特徴は、操作のほぼすべてをAIに任せて自動化できることです。特定の分野を完全に一任することもできますし、AIのアドバイスを実行に移すかどうかをその都度自分で判断することもできます。もちろん、手動で命令を出すことも可能です。AIの判断はかなり正確で、重要な局面を除けば自分が興味のある分野に集中してプレイできます。『Distant Worlds 2』の実内容に迫る!ゲームを開始する前に、まずは4Xストラテジーのお約束とも言えるプレイ条件を決めていきます。銀河の形から勝利条件までカスタマイズ可能な項目は非常に多いのですが、最低限決めなければならないのは種族と帝国の名前くらいなので、初プレイでも戸惑うことはないでしょう。種族は人類を含む7種類が用意されており、種族ごとに固有ボーナス、植民に適した惑星、他の種族に対する感情、政体の好みが違います。今回のプレイでは、主人公に三つ目のネズミ種族ティーカン人(Teekan)を選びました。ティーカン人は砂漠を好む生来の商人で、優れた鉱夫でもあります。帝国の名前は「カマンベール帝国」とし、政体はデフォルトの商業組合(Mercantile Guild)にしました。その他の設定はすべてデフォルトのままです。ちなみに、勝利条件は複数の条件を自由に組み合わせて設定できます。すべての勝利条件をオフにすれば勝敗のないサンドボックスモードになります。前銀河時代カマンベール帝国は銀河の辺境にある砂漠惑星で誕生しました。技術はまだ原始的で宇宙への第一歩を記したばかりです。惑星に残された古代の宇宙船を発見したカマンベールの民は、自分たちが宇宙をまたにかける遊牧民の末裔であることを思い出しました。今こそ、この惑星を出て宇宙に飛び出す時です。しかし、発見された宇宙船は動作しません。諦めなければ、近い将来この星系を出て星々の世界に戻れるでしょう。ゲームはこのような導入で始まります。同じ星系内の惑星に未知の遺跡が存在するようなので、まずは初めから所持していた調査船を遺跡に向かわせました。技術が未熟なせいか、調査船の移動速度は思いのほか遅く、ゲームの進行速度を最大にしても隣の惑星に到達するのに時間がかかりそうです。本作はリアルタイムで進行しますが、好きなタイミングで一時停止できます。進行速度は3段階に調節可能です。調査船の到着を待っていると、ゲームが次にするべきことをアドバイスしてくれました。一見普通のチュートリアルのようですが、アドバイスはチュートリアルではなく、プレイに習熟したあとでも利用する基本機能です。首都星に宇宙港と2隻目の調査船を作るようアドバイスされたので、資金を消費してその通り建設するよう指示しました。アドバイスを受け入れる場合は、受け入れるボタンを押すだけでアドバイス通りの命令が実行されます。いちいち自分で命令を出す必要はありません。最初に送り出した調査船が目的地に到着するより早く宇宙港が完成。2隻目の調査船は自動的に首都星周辺にある小惑星帯の調査を開始し、次々と新種の資源を発見しました。さらに、アドバイスに従っているだけで建設船が自動的に資源のある場所に向かい、採掘ステーションを建設し始めます。技術の研究も自動化されており、いつの間にか最初の技術「初期ワープフィールド実験」が完成。カマンベール帝国は超光速航法を手に入れ、星々への道がひらけました。このように、本作の自動化機能は非常に強力です。一部の命令はデフォルトで自動化されており、それ以外もアドバイスに従っていればほとんど問題なくプレイできます。どの命令を自動化してどの命令を手動で指示するかは細かく設定でき、慣れてくれば自分の好きな分野だけをプレイすることも可能です。この自動化機能は初心者にとって非常にありがたいものです。しかし、それに頼りすぎると、自分で戦略を考える楽しさや、宇宙4Xストラテジーに特有の「未知なるものを発見する喜び」が損なわれるとも感じました。最初のプレイくらいは新種の資源や超光速航法をプレイヤー自身の手で発見したいですよね。この時、帝国はすでに調査船や建設船を15隻保有していました。初心者が管理できる数の限界を超えていると思うかもしれませんが、宇宙船は全自動で行動してくれるためプレイにはまったく支障がありません。自動化機能の優秀さがわかります。この後も管理すべき宇宙船や惑星の数はどんどん増えていき、手動ですべてに指示を出すのは不可能になりました。本作をプレイする上で自動化は必要不可欠な要素ですが、すべてを完全に自動化するとプレイヤーのすることがなくなってしまいます。自分のコントロールしたい分野を決めて、それ以外を自動化するのが楽しくプレイする秘訣かもしれません。銀河時代の幕開け本作のインターフェイスは直感的で、各画面に親切なチュートリアルがついています。その中でも特徴的なのが、画面の左上に並んでいる帝国、外交、軍事などのボタンです。各分野のボタンにカーソルを合わせると、一時的にウインドウが開いてその分野のデータが表示され、カーソルを離すと閉じます。このインターフェイスのおかげで、いちいちボタンをクリックしなくとも、マウスを動かすだけで各分野のデータを一望できるのです。もちろん、ワンクリックでウインドウを開いたまま固定しておくこともできます。しばらく操作せずに帝国が星系内に拡大していく様子を眺めていたところ、初めての異星人に遭遇しました。ファーストコンタクトの相手はなんと宇宙海賊で、居丈高に「外敵から守ってやるから金を払え」と要求してきました。カマンベール帝国はまだ軍艦を1隻も持っていないので、海賊の要求を受け入れて「防衛条約」を結ぶしかありません。海賊に遭遇した後、アドバイスに従って宇宙船を建造していると、いつの間にか最初の宇宙艦隊が誕生しました。しかし、その直後に資金の収支が急激に悪化します。赤字の原因は艦隊の維持費でした。ところが、なにか対策を考える間もなく収支はすぐに黒字に戻ります。実は、予算の配分もデフォルトで自動化されていたのです。よほどのことがない限り、なにも指示しなくても収支は自動的に黒字になります。これも便利な機能ですが、どの支出を減らして黒字化しているのかわかりにくいのは困りどころです。今回の場合は、コロニーの成長と技術研究に回す予算を削って赤字の穴埋めをしていました。ようやく最初に調査船を派遣した惑星の調査が完了。古代の大鉱山が発見され、古代ティーカン人が残した宇宙船が見つかりました。探索ではイベントが発生し、重要な選択を要求されることがあります。各種族には固有のストーリーが用意されていて、ストーリーに関係するイベントも発生します。今回のイベントでは、資金を宇宙船の研究に投じるか、採掘設備の修復に投じるかの決断を迫られました。イベントは選択肢を選ぶまで結果がわかりません。直感で宇宙船の研究を選択したところ、「安定ワープフィールド」技術を手に入れました。技術はプレイごとにランダムなツリー状になっており、デフォルトでは研究済みの技術の次の技術までしか見えません。この設定はゲーム開始時のオプションで変更可能です。技術の研究には初期コストが必要で、追加コストを支払えば研究を加速できます。ワープ技術が進歩したことで、調査船が次々と首都星系の外に進出し始めました。銀河時代の幕開けです。星系の間に決められた航路はなく、宇宙船は宇宙空間を自由に航行できます。ただし、燃料の概念があるため、無限に遠くまで行けるわけではありません。首都星系の周辺を調査すると、異星人の住む独立コロニーが次々に発見されました。カマンベール帝国は独立コロニーと貿易協定を結び、各星系に採掘ステーションや研究ステーションを建設していきます。帝国の拡大辺境星系の調査中にケイ素で構成された宇宙怪獣を発見。脅威に対処するようアドバイスが出たので、宇宙艦隊を向かわせました。ところが、宇宙船を捕食する巨大な宇宙怪獣を前に手も足も出ません。甚大な被害に気づいて慌てて残存艦を撤退させたものの、宇宙艦隊の半数が壊滅する大惨事になりました。本作のアドバイスは優秀ですが、万能ではありません。この事件は、帝国の存亡がかかった重要な場面ではアドバイスを鵜呑みにせずに自分で判断しなければならないという教訓になりました。この頃、カマンベール帝国の財政は逼迫していました。宇宙海賊に上納する「防衛費」が原因です。収支を改善するために海賊への支払いを停止したところ、海賊はたちまち帝国各地で採掘ステーションを襲い始めました。宇宙艦隊は宇宙怪獣に対する敗北から立ち直っておらず、海賊を排除する力はありません。結局、海賊に詫びを入れて、もう一度「防衛条約」を結ぶしかありませんでした。そうした中、初めて他の帝国に出会いました。帝国の名は「ティーカン共同企業体」(Teekan Consortium)。その名の通り、我々と同じティーカン人の帝国で、政体も同じ商業組合です。同族のためか最初から友好的で、すぐに両国間に自由貿易協定、不可侵条約、移民条約が結ばれました。外交では両国の関係の良さが重要になります。関係の良さは数字の大小で表され、その値は様々な要因で決定されます。要因の内訳はすべてわかりやすく表示されますし、時間経過とともに変化する場合は変化量も表示されます。交渉では条約を結ぶだけでなく、資金、地図、技術、資源などを取引することも可能です。帝国の領域が拡大するにつれて宇宙怪獣の脅威も増加の一途をたどりました。再建を果たした宇宙艦隊は各地で発見される怪獣を駆逐するのに大忙しです。手動で怪獣に対処する間、帝国の拡大作業は完全に自動化していましたが、ここでも不都合は生じませんでした。やがて、着実に増強されていく宇宙艦隊に恐れをなして、宇宙海賊が不可侵条約の締結を求めてきました。カマンベール帝国はこれを承認。これまでは海賊から一方的に「防衛」される関係でしたが、ようやく対等の関係になったのです。その後、海賊は技術や地図を売り込みに来るようになりました。ゲームの勝利条件には全種族に共通のものと種族に固有のものがあります。実は、ティーカン人には「もっとも多くの不可侵条約を結ぶ」という勝利条件があり、海賊と不可侵条約を結んだのもこの条件を満たすためでした。戦乱既知の領域が広がり、帝国が8個発見された時点でカマンベール帝国は2位。1位は最初に接触した隣国ティーカン共同企業体です。ティーカン共同企業体は移民条約を最大限に活用し、我々の勢力圏に次々と植民地を建設していました。一方、カマンベール帝国は辺境の宇宙怪獣をなかなか排除できず、拡張が停滞気味です。次第に両国の緊張が高まる中、ティーカン共同企業体はモルタレン人(Mortalen)の帝国と戦争をはじめました。モルタレン人は戦争が得意な竜人族ですが、両国の戦力差は圧倒的にティーカン共同企業体が優勢です。しかし、戦争が進むにつれてティーカン共同企業体の戦力は急激に減っていきました。隣国が弱体化したことを察知したカマンベール帝国は首都に宇宙艦隊を集結させると、全条約を破棄してティーカン共同企業体に宣戦布告します。ティーカン共同企業体の艦隊は我々の首都の隣まで進撃してきました。しかし、その数は全艦隊の半数にも達しません。モルタレン人との戦争が長引き、こちらに全艦隊を回せないようです。この星系には駆逐できずに放置していた宇宙怪獣が棲んでいました。そのまま様子を窺っていると、案の定、事情を知らない敵艦隊は宇宙怪獣との戦闘に突入。またとないチャンスに、カマンベール帝国はすぐさま首都に集結させていた宇宙艦隊を出撃させます。宇宙怪獣の猛攻撃を受けて敵の旗艦は爆散。怪獣は駆逐されたものの、敵艦隊の半数が壊滅しました。そこにカマンベール艦隊が敵を包囲する形でワープアウト。戦争の勝敗は決しました。その頃、銀河の至るところで巨大な帝国同士の戦争が勃発していました。ティーカン人は外交と貿易に秀でていますが、戦争は苦手です。果たして、カマンベール帝国は銀河の戦乱をくぐり抜けて勝者となることができるでしょうか。この続きは、あなた自身の手で銀河の歴史を紡いでください。高度な自動化が特徴的な宇宙4Xストラテジー作品本作は高度な自動化機能を備えた宇宙4Xストラテジーです。世界観こそ古典的ですが、自分が興味のある分野だけをプレイすることも可能なほど徹底した自動化が行われており、従来の宇宙4Xストラテジーとは違った遊び方ができます。内蔵エディターを使えば、プレイ中の星系や勢力を自由に編集することも可能です。4Xストラテジーが好きな方、宇宙を舞台としたSFが好きな方にお勧めの作品です。タイトル:Distant Worlds 2対応機種:PC(Steam)記事におけるプレイ機種:PC(Steam)発売日:2022年3月11日記事執筆時の著者プレイ時間:25時間価格:5,150円「爆速プレイレポ」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、新作タイトルの生の内容を伝えるプレイレポートをお届けします。対象となるタイトルは、執筆時点で発売48時間内の新作、かつAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「読者が気になるだろうゲーム」もしくは「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。性質上、本企画においてはゲームの評価や採点は行いません。ストーリーなどの「ネタバレ」も軽度な内容に留まることが殆どです。また、記事執筆にはデベロッパー/パブリッシャーからプレイレポート用として提供されたゲームソフトが含まれる場合もあります。プレイ時間自体も基本的には短い段階での執筆となります。なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイしています。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。

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