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Oct

極右のイベントを取材したリベラル記者が語る「集団いじめ」体験レポート

6月2日、カナダの極右サイト「ザ・レベル(The Rebel)」が、トロントで毎年恒例のライブカンファレンス「ザ・レベル・ライブ」を開催した。

その記事を書くにあたり、出だしの文句を自分で考えてもよかったのだが、偶然にも、その日の司会を務めたレベルの寄稿者デビッド・メンジーズが、私のかわりに仕事をしてくれた。彼は、最も不寛容かつ最もリベラルなレポーターという役どころを装いながら、ふざけたような大声でこう言った。

「このイベントの開催場所は、カナダ・クリスチャン・カレッジです。ここは、その名が示すように、非カナダ人、非キリスト教徒、そして非大学生には開放されていません。4列目にいる女性のかぶっている白い帽子は、遠くから見ると、クー・クラックス・クランの頭巾に似ていますね」。メンジーズがそうからかうと、聴衆の大喝采がとどろいた。私はまさにこういう世界を書くつもりだったので、このメンジーズの発言は、時間の節約になった。

極右のイベントを取材したリベラル記者が語る「集団いじめ」体験レポート

7時間にわたるイベントのあいだ、私はレベルの講演者とその聴衆による個人攻撃の格好の標的になった。たとえば、私を「膣のかゆみ」になぞらえる。私の名前の発音を意図的にまちがえる。「堕落した」「精神的に不安定」「凶悪」と表現し、「偏屈者」と呼ぶ。反ユダヤ主義者かとも訊かれた(事実ではない)。

この手の行動に見覚えがあるとアメリカの人たちが感じるなら、それはトランプ時代のせいだ。ドナルド・トランプの大統領就任以来、政権やその支持者が記者に向ける敵意は著しく増大している。「報道の自由度ランキング」の2018年の最新調査によれば、ジャーナリストに対する憎悪は前年よりもさらに膨らんでおり、名指しでその点が指摘されているアメリカは、報道の自由度が180か国中45位に低下した。トランプがあまりにもたびたびジャーナリストに個人攻撃を浴びせるので、そうしたツイートを分析するスプレッドシートができたほどだ。

トランプは2015年8月、テレビ司会者のメギン・ケリーに向けて、いまやすっかり悪い意味で有名になった暴言を吐き、「目から血が出ている。いたるところから血が出ている」と発言した。2015年11月には、身体に障害のあるジャーナリストの真似をして嘲った。2017年6月には、「モーニング・ジョー」の司会者ミカ・ブルゼジンスキーを、「IQの低いクレイジー・ミカ」と呼び、「フェイスリフト(しわとりのための整形手術)に必死だ」と中傷した。

3月には、「ミート・ザ・プレス」の司会者チャック・トッドを「寝ぼけたろくでなし」と呼んだ。4月には、失脚したトランプの元顧問弁護士マイケル・コーエンを徹底取材した「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者マギー・ハバーマンを「三流記者」と呼んだ。6月15日には、みずから記者会見を開いておきながら、質問した記者を「不愉快」と批判した。

トランプのまわりにいる人たちも同じだ。質問が気に食わなければ、ジャーナリストを個人的に侮辱し、攻撃する。2017年5月には、下院補欠選挙に立候補していた共和党のグレッグ・ギアンフォートが、「ガーディアン」紙の記者に暴行を加えた罪で告発された。トランプの影響が波及しているのは、アメリカだけではない。その残響は世界中に広がっている。私の暮らすトロントでも、それが感じられる。