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【コラム】プーチン氏の戦争が迎える結末、6つのシナリオ-クルス

(ブルームバーグ): ロシアのウクライナ侵略戦争がどのような結末を迎えるのかは誰にも分からない。しかし、ほとんどのシナリオは悪いか、その悪いよりもさらに悪い展開をたどる。頭を整理するため、まずはプーチン大統領とネズミの逸話から考えてみよう。

プーチン大統領は少年時代を振り返り、1匹のネズミをかつて廊下で追いかけた時の話をした。追い詰められたネズミは一転してプーチン氏に襲いかかってきたという。

なぜプーチン氏は、この逸話がロシアウォッチャーの間で繰り返し語られるように仕向けたのだろうか。遠回しに脅しているという見方が大勢だ。つまり、プーチン氏自身がそのネズミであり、しかも核の爪を持っているのだから追い詰めるなよという暗黙のメッセージだ。

最近のプーチン氏はどう見ても孤立し、自分の精神世界の中に閉じこもっている。旧ソ連時代の前任者らとは違って政治局もなく、信頼できるチェック・アンド・バランスも働いていない。1人で決断している。

 【コラム】プーチン氏の戦争が迎える結末、6つのシナリオ-クルス

ネズミの目から見ると、廊下は八方ふさがりだ。それを踏まえた上で、以下の6つのシナリオを考えてみよう。

ウクライナ勝利

ウクライナの英雄的な防衛努力が実際にロシア軍を撃退するとは軍事力から見て考えにくい。しかし、当然それは世界の大部分にとって好ましい結末だろう。傷を負いながらも勝利したウクライナは団結を深めた欧州連合(EU)と連携し、西側民主主義諸国との統合を加速させるだろう。北大西洋条約機構(NATO)は新たな目的意識を持つようになる。台湾に目を向けている中国は、自らトラブルを起こすことをためらうだろう。

ウクライナの勝利はプーチン氏のプロパガンダのすべてを打ち砕く。敗北が政治的な死を意味することをプーチン氏は知っている。だからこそ、プーチン氏はこのシナリオが実現するのを許さないはずだ。引き下がる代わりに、次の3つの選択肢のうちの1つに進むだろう。

ロシア恐怖政治

使用するのは通常兵器に限った上で、攻撃を劇的にエスカレートさせる恐れがある。それは基本的に、ウクライナを爆撃で屈服させることを意味する。民間人と軍人にすさまじい犠牲が生じるだろうが、プーチン氏は気にしないだろう。名目上は独立した傀儡(かいらい)国家として、あるいは大ロシアの一部としてウクライナを取り込み、ついでにベラルーシもそこに加えるかもしれない。