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カラフルな新iMacの使い心地を検証、“家用最強”といえる進化のポイントは?

Apple M1チップの搭載によりスリムサイズを極めた

iMacは筆者が大学を卒業した年である1998年に発売されたデスクトップPCだ。当時は15インチのブラウン管を搭載していたiMacは、そのディスプレイの技術方式ゆえに奥行き方向の寸法が長く置き場所を取る製品だった。でも当時は周りを見渡してもiMacほどスタイリッシュなデスクトップPCは他になかったように思う。そのデザインに魅了された筆者も第1世代のiMac G3を長く自宅のメインPCとして愛用していた。アップルはiMacのディスプレイを液晶方式に変更して、薄型化に挑んだ。CPUをはじめとする主要ICチップを載せたロジックボードにストレージデバイスも、パネル部分に一体化されたiMacはどんどんスリムになっていった。2021年に発売されるiMacは、ついに本体の厚みがわずか11.5mmという信じられないほどの薄さを実現した。あえて強調すると、このスリムな本体の中にはディスプレイだけでなくロジックボードやストレージ、サウンドシステムなどがすべて一体化している。強烈に目を引くスリムな本体が実現できた背景にはアップル独自設計のチップ「Apple M1」が大きく貢献している。CPUにGPU、メモリなどがシステムオンチップ(SoC)として統合化されたM1によりロジックボードが小型になり、さらに電力効率の高いチップであることから空冷方式の冷却システムも大幅なダウンサイジングができたという。背面に搭載する接続端子は大胆に数を減らした。新しいiMacにはGPUのコア数が異なる2機種がラインアップされているが、上位機にはUSB Type-Cのポートが4基、スタンダード機にはなんと2基しか搭載されていない。USB-A端子やSDカードスロットは省略。ギガビットEthernet端子は電源アダプタの側にある。マルチインターフェースを搭載するUSB Type-C接続のハブは用意した方がよいかもしれない。

24インチの大画面がリモートワークにも活躍

iMacの24インチのディスプレイはとても広々としている。画面周囲のベゼル(額縁)を狭く設計したことにより、前世代の21.5インチの4K Retinaディスプレイを搭載するiMacとほぼ同等の縦横サイズを実現した。解像度は4.5Kにアップしている。例えば、ビデオ会議のアプリケーションを立ち上げながらテキストエディタでメモを取ったり、Webやメールの情報をチェックするマルチタスキングが一つの画面で悠々とこなせる。MacBookに外部モニターをつないだり、iPadをサブ画面のように使う必要がなくなるので、結果的にデスクトップのスペースが有効に使える。 本体には明るく高精細な映像が記録できる1080p FaceTime HDビデオカメラのほか、スタジオグレートの音声が録れるマイクが載っている。リモートワーク環境でビデオ会議の印象アップを図るために、自身の姿をキレイに撮れるカメラや、声を聴きやすくするためのマイクなどPC周辺機器を買い揃えたという方も少なくないだろう。iMacに内蔵されているカメラとマイクは、外部専用機器も顔負けの高品位なビデオと音声が記録できる。 もちろんiMacの本体には基本のアクセサリーとしてBluetoothワイヤレスマウスとキーボードが付属する。キーボードは指紋認証機能のTouch IDの有無やテンキーの追加をオプションとして用意した。本体の色に合わせたマウスの代わりにワイヤレストラックパッドに変更・追加も可能だ。4.5K Retinaディスプレイで映画やドラマを見たり、高精細なグラフィックスのゲームを楽しむこともできる。映像は精細感が高いだけでなく、色合いや明るさのバランスがよく練られているため長時間ディスプレイを見ていても疲れにくい。ただ画面のサイズが24インチなので、エンタテインメント系のコンテンツを楽しむ際には約1mの視聴距離を確保できるとなお安心だ。 サウンドはiTunes Storeで購入・レンタルした作品も含むApple TVアプリで再生できる映画やドラマ、6月からはApple Musicでも配信がスタートする「Dolby Atmos対応の空間オーディオコンテンツ」の立体サラウンド再生が可能だ。役者のダイアローグがセンターの位置にしっかりと定位して、リアルな効果音が頭の後ろ側に回り込むリアルなサラウンド体験をiMac単体で楽しむことができる。さまざまな種類のコンテンツを十分すぎるほど高品位に再現できる新しいiMacは、エンタテインメントPCとしての完成度も文句なしに高いと感じた。

家用にiMac、ポータブルはiPadが主流になるか

macOS 11から、メールやメッセージなどアプリケーションのアイコンがiOS/iPadOSと統一されている。またApp StoreからはiPhone、iPadに対応するアプリの一部をMacにダウンロードして使えるようになった。新しいiMacはカラフルな7色のバリエーションを揃える。iPhone 12シリーズやiPad Airとソフト・ハード両方のテイストを近づけたことにより、新しいiMacはiPhoneやiPadのユーザーの目をより強く引き付けるのではないかと思う。iPhoneのカメラで撮影した動画や写真は、Apple IDにより同一ユーザーのデバイスとしてiMacにもひも付けられ、iCloudを介してデータがスムーズにシェアできる。現在iPhoneを使うユーザーの「家用Mac」として使用感の近さと、15万4800円という手頃な価格から、エンタテインメントに在宅リモートワーク、リモート授業にまでフルに使い倒せるスマートなオールインワンデスクトップが手に入ることを考えれば、MacBookに代わる多くの人々にとっての新しい生活スタイルの「ファーストチョイスPC」になるかもしれない。外出時の仕事や学習にはiPadを選ぶユーザーの傾向とどのような関係が浮かび上がってくるのか、iMacの発売後の動向にも注目したい。(フリーライター・山本敦)

 カラフルな新iMacの使い心地を検証、“家用最強”といえる進化のポイントは?