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Dec

J.Coleを過小評価してないか? 最も賢く、偉大で、伝説的なラッパーの半生

どうも、ラッパーのRAq(@raq_reezy)です。

今回は、J.Coleについて紹介したいと思います。

彼はヒップホップとしては珍しい客演なしというスタイルによる3枚目のアルバム『KOD』を2018年にリリース。Spotifyでは、初日の最大再生回数記録を上書きするなど、その人気の高さを見せつけました。

J.Coleを過小評価していないか?

洋楽のヒップホップが好きな方なら、「J.Coleくらい知っているよ」と思われるかもしれません。ですが、やはりJ.Coleは日本で過小評価されていると思います。

というのも、デビュー以来、6枚のアルバムはすべて全米チャートの1位を獲得。しかも、そのうち3枚は客演なし。

デビューアルバム以来8連続で全米チャート1位を記録しているドレイク(Drake)をして「俺たちの世代で、最も賢く、最も偉大で、最も伝説的なアーティストだ」と言わしめた男──それがJ.Coleなのです。

アメリカでは一時期、『KOD』を引き合いに「J.Cole went platinum with no features(J.Coleが客演なしでプラチナム・セールスを記録した)」というのがミームにもなりました(笑)。

ということで、まだJ.Coleを知らない方のためにも、ぜひ紹介したいと思います。

苦労人のJ.Cole、レーベルとの契約獲得までの道のり

J.Coleは、西ドイツのフランクフルトにあるアメリカ軍の基地で、アフリカン・アメリカンで軍人の父親と、ヨーロッパ系で白人の母親の間に生まれました。

 J.Coleを過小評価してないか? 最も賢く、偉大で、伝説的なラッパーの半生

しかし、父親が家族を捨てて離れてしまったため、母親はJ.Coleと兄弟を連れて、アメリカのノースカロライナ州で彼らを育てることとなります。母親は再婚しますが、その相手も浮気をするなど、万全とは言いづらい家庭環境の中で育ちました。

J.Coleは、敬愛するラッパーであった2Pacが亡くなったことに影響を受けてラップを始めます。15歳頃になると母親が買い与えたサンプラーで音楽製作に打ち込みはじめ、プロの道を意識するようになります。

当時はレーベルと契約してラジオで曲を流してもらわなければアーティストとして売れることは不可能な時代でした。生まれ育ったノースカロライナ州には力のあるレーベルがなかったため、J.Coleはレーベルとの契約を獲得することを目指して、ニューヨークの大学に進学します。

インターネットがあったとはいえ、2000年代前半の当時はまだスマートフォンが普及しておらず、みんながSound CloudやYouTubeでミュージシャンから出された曲にダイレクトに繋がる時代ではありませんでした。

「パソコンに詳しい人間が、インターネットに公開されたミックステープをダウンロードして、CDに焼いて、学校で違法販売しているような時代だった」とJ.Cole自身も振り返っています。

JAY-Zとの出会い 光があたったJ.Cole

さて、問題の多かった家庭を離れてニューヨークで一人暮らしと大学生活を始めたJ.Cole。彼は大学生活の楽しさの中で、2年ほど完全に音楽活動を離れてしまったようです。

しかし卒業が近づいてくると、自分がニューヨークに来た目的を思い出し、再び音楽に本腰を入れていきます。

そんなJ.Coleが光を浴びたのは、大学卒業から2年が経った2009年でした。

彼が公開したミックステープ『The Warm Up』が、ヒップホップシーンから好評価を獲得。

そしてJAY-Zのアルバム『The Blueprint 3』に収録されている「A Star is Born」に客演として参加します。さらに、様々なアーティストの楽曲への客演参加やツアーを敢行。

ミックステープ中の楽曲「Lights Please」で「光をあててほしい」と切なく歌っていたJ.Coleですが、さっそく光を浴びたのでした。

今も変わらないJ.Coleの魅力は、優れた描写力によるストーリーテリングと、本人がつくる温かみのあるサンプリングビートです。

当時、ツアーを回っている最中にヒップホップの生ける伝説であるナズ(Nas)と出会った際にも、ナズ本人からファンであると告げられたと歌詞に残しています。

Fast forward, who'd a thought that I would meet him on tourI'm earnin' stripes now, a nigga got Adidas galoreBackstage I shook his hand, let 'em know that he's the manWhen he said he was a fan it was too hard to understand

早送りしよう、俺が彼(Nas)にツアーで会うなんて、誰が思っただろうか俺も今ではお金を稼いでるし、Adidas Galoreだって買えるステージ裏で、彼と握手をして、彼のことを尊敬していると伝えたそしたら、彼は、俺の音楽のファンだって言うんだ、俺は状況を把握するのが難しかった

Nasのポスターを部屋に貼っていたというJ.Coleにとっては、本当に嬉しい瞬間だったことでしょう。