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お仕事と“推しごと”を両立! SNSで話題の「推しごとバッグ」はなぜ生まれたのか

エレコムが発売した「推しごとバッグ」

 お仕事と“推しごと”を両立! SNSで話題の「推しごとバッグ」はなぜ生まれたのか

キャラクターの缶バッジやストラップをたくさんつけたカバンを見たことはないだろうか。通称「痛バッグ」と呼ばれ、好きなキャラクターやアイドルの“推し活”をする人達の間で広まっている。【画像】商品を見る 「推し(好きな人やモノ)」をアピールし、応援する気持ちを前面に表現するツールとして痛バッグはあるわけだが、ビジネスシーンではなかなか適さない。“仕事”も“推し活”も全力で頑張りたい! そんな人に向けたバッグがSNS上で話題となっている。 エレコムが1月下旬に発売した「推しごとバッグ」だ。一見すると普通のバッグパックだが、可動式の透明窓を展開することで、バッジやキーホルダーを付けた面が前面に推しだせる仕様とした。 バッグ前面にはファスナーポケット、側面には伸縮スリーブポケットやサイドファスナーポケットを備え、荷物の出し入れがしやすいように工夫。内部にはクッションを内蔵したスリーブポケットを採用し、15.6インチまでのノートPCやA4サイズの冊子、書類なども収納できるようにした。 また、バッグ底面には硬質芯材を搭載することで変形しにくくするなど、使い勝手にもこだわった製品だ。 SNS上では「つい興味がわいちゃった」「ええかも」「仕事帰りにライブとか控えていたら頑張れそうでいいな」といった声が挙がっている。 エレコムといえは、PC周辺機器などを手掛けているイメージがあるが、25年以上前からバッグの製造・開発を行っている。PCキャリングバッグのほか、機能性を高めたビジネスバッグなどが主力商品だ。 「“オタ活”を前面に打ち出して訴求する商品は当社として初めてです」と話すのは、商品開発部 モバイル&サプライ課 サプライチームリーダーの森本和喜さんと、同チームの大嘉真伍さん。話を聞くと、発案した大嘉さんの熱い思いが込められた製品のようだ。

担当者に聞いてみた

――発表した推しごとバッグが話題となっています。なぜ今回、この商品を開発することになったのでしょうか大嘉: 当社では、ビジネス関連の市場を狙って主にビジネスバッグを開発しています。それに対して私がずっと社内で主張し続けていることがありまして、それが「オタク産業は成長産業」だという点です。例えばキャラクタービジネスの市場規模は小売額ベースで1兆円ともいわれ、靴の市場と同じぐらいの規模があります。 誰もがアニメや漫画などのサブカルチャーに触れるような時代になりましたが、その中でもTPO、いわゆる“ドレスコード”的なモノでオタク活動が忌避され抑圧されているのではと考えていました。 私を含め、ビジネスパーソンがオタクをしていることが当たり前の時代に、何かしらの提案をしたいと考え、私が現在担当している「カバン」のカテゴリーで商品を手掛けようと思ったのがきっかけです。私自身もアニメやSFなどが好きなオタクなので、“オタクチックな爪跡を残したい”という思いがありました。 個人的に企画を考え始めたのが、2019年の冬ごろです。同年の春からバックのカテゴリーを担当していて、ちょうど仕事にも慣れ始めてきたころでした。「自分の思いをしっかり反映した商品をそろそろ企画してもいいのでは」と思い、さらに半年ほど構想を詰め、製品化に向けて動き出しました。――そんなに熱い思いがあったのですね。エレコムでは、現場の社員から意見を募って製品化することはよくあるのですか?森本: ちょっと関西のノリというか、「面白いことがあったらすぐやってみよう」という文化がありますね。 商品開発にはもちろんさまざまなパターンがあります。その一つとして、開発担当者があたためている企画や「こんなことをしたら面白くないですか?」という案を積極的に出し、他部署と議論しながら製品化に向けて動くことがあります。 私は同じ部署で彼を見ていますので、今回の企画もすごく大嘉くんらしいなあと思っていました。正直「やってみようぜ!」という、ちょっと“軽いノリ”でスタートした部分もあったのですが、他部署からも幸い面白がってもらえたのでよかったと思っています。――なるほど。推しごとバッグ開発にあたって、こだわった点はどこですか?大嘉: 開発段階で大事にしたいと思っていた点は、推し活を生活の一部、ライフワークだと捉えることです。推し活を表現する部分がメインではなく、あくまでバックに搭載する“機能の一つ”と位置付けて開発しました。 痛バッグはすでに多く出回っています。ただ、その多くが「私のかわいいバッグを見て!」といったような、推しのアピールを目的とした使い方、売られ方をしていました。対して推しごとバッグは痛バックとして売り出すのではなくて、推し活をしている人が考える「日常で使えるこんな機能があるバッグがあったらいいな」にこだわりました。